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「?」
ズルッ……
ズルッ……ズルッ…………
「なんだよぉ! 今度は何なんだよ!」
ズルッズルッと何かを引きずる様な音がする。
湿ったその音は幸一に近付いて来ている。
ズルッ……
「ひっ!」
ズルッ……
「ヒイィ!」
ズルーッ……
幸一は激しく呼吸を繰り返した。
幸一がゼィゼィと呼吸を繰り返す音と、ズルズルという得体の知れない音が、暗闇に溶け込む。
幸一は恐怖の虜になっていた。
ただ、音が聞こえているだけだというのに、その音の正体が分からないというだけで、こんなにも恐ろしいものか。
(にっ、逃げよう! この部屋から逃げよう!)
幸一は一歩動く。
そして、足下にある何かに躓き、豪快に転んだ。
「痛いっ!」
一体何に躓いたのか?
幸一は、何から何まで自分に起こっている状況が分からなかった。
「たっ、助けて……」
自分以外には、気絶しているまゆみしかいないというのに幸一は、そう呟いた。
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