八二

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 彼女は細い指を幸一の首にゆっくりと伸ばす。  その事に幸一は全く気付かないでいた。  カサリッ……  彼女の足下の髪が小さく、小さく音を鳴らす。  カサリ……        カサリ……       音がする。  カサリ……  音がしている。  それでも幸一は、自分にこれから何が起ころうとしているのか気付かない。  カサリ……                         カサリ……  気付かない。  気付いた頃にはもう遅いというのに…………
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