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松浦は自室のベッドで天井を眺めながら考えていた。
秋元梨央。
松浦は内心動揺していた。梨央がゲイという事は知っている。最近はLGBTの問題は非常にデリケートで取扱いに注意が必要である。梨央の心を傷つけるような事のないように言葉には十分気をつけよう。何かあればこちらが叩かれかねない。
秋元は綺麗だ。だけどそれだけじゃない。生まれ持った物が他人と異なる。あの教室で場の空気を完全に支配していた。梨央の美貌は松浦をなぜか不安にさせた。
「はぁ………………」
俺は疲れているのだ。最近、何だかんだで忙しく、2週間位セックスしてない。週末は酒を飲みながらいい女を抱こう。
「センセーお休みの日は何してるんですかぁ?」
梨央が松浦に休み時間に話しかけている。
「家の片付けとか買い物とかですよ」
松浦は注意深く返事する。
「デートとかしないの?」
「ないです、ないです」
松浦は梨央が、苦手である。早く会話を終らせたい。視線も極力合わせたくない。
「でも、この前先生………派手な女子連れてお洒落なスペインバルで飲んだ後………」
「おい!!」
松浦は声を荒げた。荒げてから、教室中の視線を避けるように小さな咳をした。
「…………大丈夫だよ。先生だって男だからね…」
「………………あの人は彼女です」
とっさに嘘をついた。彼女とそうでなかった場合ラブホに入るのは、どう変わるのか?考える暇もない。脇から悪い汗が流れ落ちた。
「あ、そう。かわいいじゃん、かのじょ 」
梨央は意味深に笑って言った。
「秋元さん、我々、教師にも私生活があります。時間外の事は今後は立ち入らないで頂けますか?」
喉の奥から強張った声が出た。
「いいよ……………立ち入らないよ…………先生さ………………だけどねあのラブホはやめた方がいいよ…………お風呂ちゃんと洗ってないし、シーツもあやしいんだから」
そう言って梨央はとても魅力的なウィンクした。
松浦は17歳のこの生徒が心から怖くなった。
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