40人が本棚に入れています
本棚に追加
松浦の部屋についたのは結局11時を回っていた。
松浦は梨央がシャワーに入っている間に血がついたTシャツを洗濯した。松浦は何も食べてないという梨央の為に冷凍食品のパスタを温めた。
「シャワーありがとうございます、あと服も」
梨央が濡れた髪を拭きながらバスルームから出てきたた。髪が濡れているといつもより幼く見えた。
松浦の2軍落ちしたロンTとジャージを貸した。長身の松浦のジャージの丈が足りてない。
(何食ったら足がそんなに伸びるんだ?)
「食べていいの?」
「どうぞ、悪いけど飲むよ」
「いただきます!」
松浦はビールをグラスに注いで飲んだ。
入りきらなかったビールを梨央が勝手に飲んだ。
「おい!」
「いいじゃーん!秘密にしといてよ」
「こっちが処分されるの!」
「言わなきゃばれないよ、せんせー!まじめだなぁ」
「はぁ…………」
松浦は頭を抱えた。
「先生、ありがとう」
濡れた前髪が目にかかって黒い瞳に影ができている。風呂上りの上気した白く若い肌が艷やかで松浦は目を逸した。
梨央は時々、見る者を狼狽させる。
(近くで見るとコイツ………エロいな)
(馬鹿な!コイツ男だぞ)
松浦は残ったビールを飲み干した。
松浦のベッドの隣に布団を敷いた。
枕元の間接照明だけが淡く寝室を照らしている。
梨央が横になって言った。
「先生、今日は本当にありがとう」
「痛みはない?」
松浦はいかにも教師らしい事を言ってみた。
「大丈夫です…………お休みなさい」
梨央は目を閉じるとすぐに寝息をたてた。
松浦は落ち着かず、何度も寝返りをうった。
普段、一人で寝ているので誰かいるとどうしてもも落ちつかない。
長い夜になりそうだと松浦は覚悟した。
松浦は明け方3時に目を覚ました。
隣の布団で梨央の小さな寝息が聞こえている。
松浦は淫夢を見た。
それは隣で寝ている男子生徒との淫らな夢だった。
それは今実際に起こった事のように現実味を帯びていた。
梨央の脚を女との時と同じように開き自分の物を激しく打ち込む夢だった。
梨央が苦しそうに喘ぐたびに興奮し上りつめた。
実際に夢精していた。中学生以来だった。
目が覚めるとあっと言う間に自己嫌悪に陥った。早く汚れた下着と体を綺麗にしたくてバスルームで流した。
秋元梨央はどう見ても女じゃない。背は松浦より高いし、声も低い男の声だ。
松浦はストレートであり、自分をバイセクシャルとも、ゲイとも一度も思った事もなかった。
(昨日、女と遊ぶつもりだったからだ。周期的な生理現象だ…………そうに違いない)
松浦は女子生徒に対しても一度もそんな破廉恥な夢など見たことはない。
松浦は目覚めた梨央と目が合わせられなかった。
「先生、おはようございます」
罪悪感からか梨央に朝食を作った。
パンケーキとカリカリに焼いたベーコン、スクランブルエッグ、サラダ、スープを作った。
「すごい!ありがとう先生……」
「食べたら送るよ」
「いただきます」
梨央は嬉しそうに食べ始めた。
松浦は梨央が何も気がついていない様子なので胸を撫で下ろした。
最初のコメントを投稿しよう!