40人が本棚に入れています
本棚に追加
松浦は 梨央のネットストーカーがやめられなくなった。やめたいのにどうしても見てしまう。松浦は自分が情けなくて恥ずかしかった。
クラスメイトとのSNS上の会話。
女子生徒1『りおー彼氏できた?』
梨央 『ひみつー』
女子生徒 2『いないね!』
梨央 『狙ってる人はいるー』
女子生徒 1『またおじさん?』
梨央 『若いけど年上』
女子生徒2『私達の知ってる人?イニシャル!』
梨央 『MK』
女子生徒 2『MK?誰?』
男子生徒1『どこまでいったん?』
梨央 『家に泊まった』
女子生徒1『はあ?やってんじゃん!』
男子生徒1『やってんじゃん!』
女子生徒2『やってんな!』
梨央 『ナイショ♡』
女子生徒 1『タピオカ行って詳しく聞こうか』
松浦は胸が高鳴るのを感じた。人生で1度も味わった事のない高揚感だった。
( 梨央は自分の事を言っているんじゃないか?)
でもこれが自分じゃないとしたら───
そう考えると同じ位、許せない気持ちになり苛立った。
梨央が廊下で何か言いたげに近寄ってきた時も松浦は冷たく視線を外した。
昨日も今日も何度も梨央を無視した。なのに気分は晴れなかった。
(何でこんなにこの子供に振り回されなくてはいけないのか?)
「センセ、最近僕の事避けてるでしょ?」
梨央が放課後に松浦を捕まえて言った。
松浦は梨央と露骨に目を合わさなかった。
「避けてなんかいないよ」
梨央は松浦を覗き込んだ。
「僕が嫌いなんですか?」
「嫌い?違うよ。生徒と教師なんだから適切な距離を保って欲しいんだ」
松浦はこんな会話をしたくなくてすげない返事をした。
「先生お願い……………そういうの傷つくから……やめて」
梨央は真っ直ぐに松浦を見た。
「ちゃんと分かってます。先生に迷惑かけた事も反省してます……………だけど避けるのはやめて」
梨央の瞳に涙の粒が盛り上がって溢れた。
松浦は狼狽えた。
松浦は梨央をそんなに追い詰めていたことに気がつかなかった。松浦は勝手に梨央はそんな事気にする人間じゃないと思っていた。
「悪かった………」
「待ってるから今日だけ一緒に帰ろう……先生」
最初のコメントを投稿しよう!