インタープレイヤーズ

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　五十年近く前に発表された文学作品に感銘を受けて居を構えているというシンガーソングライターの取材は難航した。元々突飛な言動が多く、彼が座右の書にしているという小説がセックスやドラッグを題材にしていることから、ネットでは常に薬物の噂がついて回る人物だが、今日のインタビューでも無軌道な言葉に振り回された。終始ネット上の噂を信じたくなるような態度で、これから行う文字起こしを思うと気が重かった。
　日は傾きかけているが、まだ空の青さは失われていない。
　一日中天気の良かった空を見上げると、フェンスが軋んだ。
　私が背にしているのも米軍基地の敷地内だ。航空機が離着陸する滑走路を備えた区画と、国道を挟んで住宅が集まった区画で構成されている。スーパーや映画館などの施設があって、より一つの街めいた雰囲気がある。
　子供の頃から、学校では米軍基地にはむやみに近づかないようにと言われてきた。小学生の頃は従順に守ってきたが、中学生になると、昼間でもあまり人の姿を見ないことから、フェンスに触っては逃げてくるという遊びをするようになった。大人から咎められたことはなく、本当に人が住んでいるのかと疑いを抱いたほどだ。