エピローグ

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エピローグ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  数ヶ月後。  人間、捨て身になればどうとでもなる。  最初は課長が務まるのか不安だったが、私が思っている以上に、人の上に立つ仕事が肌にあったようだ。  引継ぎで坂上からなにかしら仕掛けてくると思ったけど、坂上はそれどころではない様子で、引継ぎをつつがなく終わらせて、そそくさと退職していった。  ここ最近はとにかく充実している。  忙しさは増したが、仕事のやりがいは増えたと思っている。  それに給料が上がったから、肩までつかるお風呂の水道代を払えるようになったことも大きい。  出世バンザイである。 「日比野課長。最近、きれいになりましたね」 「そう? ありがとう」  昼休みに、部下の女性が話しかけてきた。  おべっかかもしれないが、ニキビが完全に治って化粧ができるようになったのは嬉しい。 「それで普段、どんな肌のお手入れをしているんですか?」 「うーん。私の場合は、特になにもしていないんだけど。やっぱりスキンケアと、規則正しい食生活かな」    元凶が消えたし、肩までつかるお風呂が気持ちいいし。最近はよく眠れている。  ストレスはお肌の大敵――基本的なことなのだ。  それに。 「それに温泉かな。ゆっくりと、リラックスする時間を作るのが一番かも」  8月と12月。またあの旅館に泊まれるように仕事を頑張ろう。  蛍と天の川の光のイルミネーションと雪と紅葉の紅白コラボ。  その他にも、私が知らない魅力があるはずだ。  欲張りで結構。私は、あの二人に会いに行く。 【了】  
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