4話 寂しい思い

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4話 寂しい思い

 翌日の昼休み、私はしんごのことで学校に電話をした。 悪い噂ってなんだろう? 心辺りがない。 電話に出たのはしんごの担任の松先生だった。 「こんにちは、松先生。松本です。ちょっとお尋ねしたいことがありまして」 『あ、はい。なんでしょう?』 「母からしんごのことで悪い噂がたっていると聞いたのですが、本当ですか?」 『あ、そのことですか……。しんご君のお父さんは長距離ドライバーで家にはほとんどいない。お母さんも仕事でほとんど自宅にいらっしゃらない。寂しい思いをしたしんご君は、万引きをしたんですよ。家の電話番号しかわからないので、なかなか連絡がとれなくてですね。その噂が広まったのではないかと思います』 「そうだったんですね……。ご迷惑をおかけ致しましてすみません」 『いや、それよりも、心のケアをしてあげた方がいいかと思います」 「わかりました。ありがとうございます」 そう言ってから電話を切った。 私は、同じ居間にいるしんごを睨んだ。 いったいなんてことを……。 息子に話し掛けた。
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