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6話 ぼくのうそ
ぼくは次の日、学校に行った時、担任の松先生に、
「しんご! おまえどうしたんだその顔! 腫れてるじゃないか!」
ぼくはおかあさんに叩かれたことは言いたくないので、
「ころんだんです」
と、いうと松先生は、
「転んだらそんな腫れ方しないだろ! 喧嘩でもして叩かれたのか?」
ぼくは困ってしまった。なので、
「はい、そうです」
と、適当に答えた。
松先生は納得がいかない様子で、
「本当か?」
「は、はい」
ぼくは段々怖くなってきた。バレたらどうしようかと。
「とりあえず授業だ」
「はい」
ぼくは松先生を見ながら歩き出した。
授業が終わり、掃除も終え、ぼくは友だちの神田ちはるちゃんと一緒に帰った。ちはるちゃんは同じクラスの女の子。学校で知り合ってお友達になったんだ。ぼくは、ちはるちゃんのことがだいすき。ちはるちゃんもぼくのことがすきって言ってた。でも、ぼくのおかあさんのことはきらいっていってた。どうしてかな。ちはるちゃんは、
「しんごくんのかおがはれているの、しんごくんのおかあさんがたたいたんじゃないの?」
ぼくは、
「いや、ちがうよ。けんかしたんだ」
「ほんとに?」
「うん、ほんとに」
ぼくはウソをついた。ちはるちゃんにこれ以上ぼくのおかあさんを嫌いになって欲しくないから。
「なら、いいけど」
ちはるちゃんは、すごく勘がいい。びっくりするくらいに。
これからちはるちゃんのお家に遊びにいくんだ。ちはるちゃんのおかあさんはすごく優しいしきれい。毎回ジュースとお菓子を出してくれる。今日は何して遊ぼうかな。楽しみ。僕は言った。
「ちはるちゃん、きょうはてんきもいいからこうえんであそぼう? ちはるちゃんのお家うちはまたこんど」
「うん、いいよ。すなばであそぶ? ブランコであそぶ?」
「うーん、あっ! おかあさんにあそんでからかえるっていわないと。でも、おうちにもどるのめんどうくさいな」
ぼくはそう言った。ちはるちゃんは、
「いわなくてもいいじゃん! どうせかえるんだから」
と、言った。
「そうだね、じゃあいわなくていいや」
僕もそう言った。
「ちはるね、ブランコであそぶ」
「えー、ぼくはすなばであそぶよ」
ぼくたちは別々に遊ぶことにした。
太陽が沈みかけている。ぼくらは夢中であそんでいたので気付くのがおくれた。ぼくは焦った。
「ちはるちゃん、まずいよ。かえらなきゃ」
「あ、ほんとうだ。ゆうやけがみえる。かえろ、しんごくん」
「うん」
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