常連客

5/8
前へ
/8ページ
次へ
大男は商品を持ってきた。店内は静まり返ったままだ。私は恐る恐るスキャンする。 「どうした?」 大男はいつもの優しい口調で話しかけてくる。 「えっ、いや、まあ・・・」 「俺にとっては狭い世界になってしまった。いや、私がそうしてしまった。だから時には切り開かなければ生きていけない」 「は、はあ・・・?」 「それにしても君、少し臭うね。ここ三日間いなかったようだが、どこか行ってきたのか」 大男は目を見開いてのぞき込んできた。私は額から汗がだらだらと流れ落ちる感覚を味わっていた。 「り、旅行です。場所は・・」 「いや、言わなくていい。言わなくていい。俺が悪かった」 大男は出て行った。その後大学生の集団も引いていった。やはり何が起こったのか分らなかった。  
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加