5人が本棚に入れています
本棚に追加
「ランカ。お使い頼む。あのレンさんのところのフランスパンをお願い。」
「はーい。おばあちゃん。ほんとにお気に入りだね。レンのパン屋さん。」
「気に入っとるのは、ランカもじゃろ?遅くなるようじゃったら、送ってもらいなさいよ。レンさんにね。」
「お、遅くならないようにするもの!じゃあいってきます!!」
あれから3ヶ月。
レンは本当にパン屋を開いた。優しい味のするパンは村でたちまち大人気になった。それが自分のことのように誇らしく感じる。暮らしの中で私達のペースで歩いていくのは…幸せな日々で。
今日も出かけようと、扉に手をかけると、おばあちゃんがまじまじと私を見て笑った。
「ランカ。あんた最近キレイになったね?」
「そ、そうかな?あんまり変わらないような気がするけど。」
するとおばあちゃんは鼻を鳴らした。
「ふふん。知らんのか?『美人の薬』は『恋をすること』。『美人の条件』は『笑顔でいること』じゃからな。そのどちらもが揃って、初めて人は綺麗になれるんよ。」
気がつけば、荒れていた肌も、みずみずしさを取り戻し、光るようになっていた。それは、私が自分のことをちゃんと大切に出来るようになったから。
綺麗でありたいと願うようになったから。
美人の条件を身に着けて、私はレンに会いにゆく。
最初のコメントを投稿しよう!