美人の薬と美人の条件

2/8
前へ
/8ページ
次へ
「危ない。焚き火もある。怪我をするぞ。ランカ。」 「あ、…レンか。ありがとう。」 ハルトではなくて少しだけ落胆する。まあ、寝たら起きないハルトが助けてくれる訳ないか。 レンはいつも通りあまり変わらない表情をしたまま、そっと離してくれた。 「ごめん…起こしちゃった?」 「別に…俺はいつも眠りが浅いから。ランカ。見張り変わる。ちゃんと寝ろ。」 「で、でもレンこの前もそう言って変わってくれたわ。私は平気。ハルト達みたいに近接戦じゃないし。」 「魔法は自分の精神力にかかってるだろ。ランカだって疲れてる。…最近特に。」 レンの碧の瞳が、心配そうに揺れていた。レンがばさりと上着をかけてくれる。驚いたが、それは暖かかった。 「心配してくれてありがとう。本当に大丈夫だから。ハルトに迷惑…かけない様に…しなきゃ。」 だんだん瞼が重くなってきた。 ああ、結局代わってもらっちゃった。私がちゃんと…しないといけないのに。迷惑かけて、ハルトに嫌われたくない…のに。 そのまま私は眠りについた。 かけられた上着は優しい匂いがした。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加