美人の薬と美人の条件

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 数日後に、私達は国王に呼び出された。魔王を討ち果たした、英雄の凱旋の為だ。 少しだけおしゃれをして、自分がハルトの側を歩く。彼の横にいるだけで、煩いくらいに心臓が鳴っていた。 国王の前にひざまずいた私達は、祝辞を聞いて顔を上げる。すると、国王の隣には、とても嬉しそうに目を潤めながら、ハルトを見つめるお姫様の姿があった。 「よかった…本当によかったわ。ハルト様が帰ってこられることを心の底から待ち望んでおりました……!」 そう言って、ハルトに抱きつくお姫様。 ハルトは顔を赤くしながらも、それを受け入れる。 「心配してくれていたんだね。リリア!!もう、君を悲しませたりしないから。」 それは、なんて美しい風景なのだろう。 お姫様と勇者様の感動の再会。 抱きついたことで、少し照れているお姫様。 勇者の見たこともないような、優しい笑み。 目尻を緩ませる国王夫妻。 祝福の声を上げるパーティーの仲間達。 それは、何処にでもあるハッピーエンドで。 この喜びの場で、暗い気持ちなのは私1人だけ。 私の恋は、伝える間も無く、散って行った。 英雄の凱旋はそのまま、婚約パーティーになるようだった。 全てが恨めしく思えて、全てが悲しくて。 せめて自分を褒めたいのは、その時、私がそこで泣かなかったことだ。 誰にも告げることなく、私は一人でパーティーを抜け出した。
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