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「ちょ、ちょっと!?レンどうしたの?」
ふとレンの肩を見ると、小さく揺れていた。クールな彼がこんな表情をしているのは初めて見た。どうすべきかと、そのままレンの背中をなでていると後ろからおばあちゃんが出てきた。
「ランカの客だったかい。取り敢えず、二人共中へお入り。お茶をいれてあげるけえね。」
おばあちゃんのおかげで、レンは少し落ち着いたようだった。
ダイニングに通して、紅茶を一口くちにすると、レンはゆっくり話しだした。
「さっきは、取り乱してすまなかった。ランカが無事なことを確かめて、力が抜けたんだ。」
「え?私、行方不明にでもなってたの?」
「……いきなりパーティーからいなくなったんだ。攫われたのかとでも思ったんだ。この一ヶ月、俺はずっとランカを探していたから。」
「それは、ごめんなさい。…心配かけちゃって。」
あの場を立ち去ったのは、どうしても幸せそうなハルト達を見ていたくなかったという、子供っぽい理由だけど、それで仲間を心配させてしまったのならいたたまれない。素直に謝ると、レンは首を横にふった。
「いや。ランカがあそこに居たくなかった理由は…知ってる。
ランカはハルトのこと…好きだっただろう?」
「はは…レンにはバレちゃってたか。」
力なく、笑うしかない。誰かに気づかれるくらい、露骨だったんだ…私。
そのまま、頭に浮かんだ言葉を、ぼそぼそと続ける。
「わかってはいたの。ハルトと私は釣り合わないこと。…結局伝える勇気も無かったんだもん。私みたいな可愛くもない魔女、誰にも見向きもされないよね。わかっては……いたんだけど。」
だめだ。また、泣いてしまう。そう思って、下を向いたとき、不意に手が握られている感覚がした。
「そんなこと…ない。俺は、誰よりもランカのこと好きなんだ。」
その手は、固くて私よりも大きい、レンの手だった。
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