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美人の薬と美人の条件
美人の条件ってなんだろう。
見張りを変わった星空の下、私は祖母で魔法の師匠をしてくれた彼女の言葉を思い出した。
「ランカ。美人でありなさいよ。女の子やからね。美人っていうのは…」
大事なことは穴が抜けたような記憶しかなかった。後ろを振り向けば、大切な自分のパーティーがいる。魔法しか才能がない私は、この世界で魔法使いをしている。所謂、勇者パーティに招かれるだなんて思いもしなかったけど。
魔王討伐の為に集められた私達パーティー。最初は色々あったけど、まあ、何とかうまくいってる。
姉御肌の賢者アルテに、力自慢のガルト。少しクールなシーフのレン…そして勇者のハルヤだ。
光の剣をつかうハルトは明るくて、太陽みたいな笑顔の青年だ。
仲間思いで、強いのにとても優しい。笑うと少し子供っぽくなる笑顔も、一緒に旅をしながら知った。私は多分彼に憧れにも似た恋をしているのだと思う。
取り立てて美人でもない私なんかが、彼を思うなんて烏滸がましいかもしれないけど。
小さくため息をつく。私にできることは少ないから、せめて薬草の調合でもしようかと立ち上がろうとすると、くらりとした。
日頃の疲れか、不安定な気持ちのせいか。
そのままこけそうになった体を誰かが抱き寄せる様に支えてくれる。
もしかして…と思い私は振り返った。
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