16人が本棚に入れています
本棚に追加
あーかし!!
-学校 放課後-
「そういえば君の名前聞いてなかったね」
昨日の放課後、いじめられていたやつの名前を思い出そうとすると思い出せない。それがまだ聞いていないからだと気づいたのは、朝登校しているときである。
「あ、はい、白崎 恵です。女の子と間違えられるのですが男です!それだけ分かっててくれれば幸いです」
...女かと思った。
「あーなるほど、分かった。恵ちゃ...くんね」
「今恵ちゃんって言いかけたじゃないですか!」
彼女...じゃなくて彼は、俺の前だと色々と話してくれるようだ。それはそれで嬉しい。別に下心ではない。何せ彼女は男なのだから。
-帰り-
今日は部活で疲れた。と言っても部員は俺を含め2人なのだが。
「離せこのやろ!」
家、つまり組から聞き覚えのある声が聞こえる。昨日の夜、橋の下で聞いたような。
「うるせー!帰れ!お前みたいなガキが来る所じゃねぇんだよ!」
下っ端が明石 悠聖を羽交い締めしている。同じ校の生徒なので一応助けよう。
「どうしたんだよ」
「お、親父!それが、こいつが俺らと喧嘩するとかなんとかで」
組のやつの発言を聞くと、明石はとても驚いた様子だった。
「こいつが、親父?」
「とりあえずその手を離せ。お客様だぞ」
「す、すいません親父!」
そいつはすぐに手を離すと、俺に向かって礼をした。だが謝るべきは俺じゃない。
「俺じゃねぇだろ!お前が失礼な事を働いていた被害者に言え!」
「ひ、ひぃ!すいません!親父のお知り合いとは知らなくて失礼なことをしてしまいました!すいませんでした!」
謝られた明石はすっとんきょうな顔をして、ポカーンとしていた。
最初のコメントを投稿しよう!