鏡の中から王子様

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  『お前、自分の姿をきちんと鏡で見ているのか? 肌荒れも酷い、ニキビも増えてきた、風呂上りに真っ黒のボサボサ髪をとかす姿は、まるでゴーストだぞ』  ゴースト(?)にゴースト呼ばわりされてしまいました! 「あ・・・・貴方一体、何なんですかさっきから! 言っていい事と悪い事がありますよ!?」  そしてなぜか、ゴーストに敬語な私。 『俺は鏡の王子だ。世の不細工女子を更生させるためにやって来た、正義の味方だ』 「はぁあ――!?」  夢にしても酷い夢だ。思いきり大声を上げ、思わずほっぺをつねってみた・・・・が、ただ痛いだけだった。 『夢ではない。お前は先程彼氏にフラれ、そこの机で文句を言いながらヤケ酒をしただろう。それに俺は、お前が生まれた時から知っているぞ。首の右下後ろに黒子があるだろう。他にも・・・・』 「ギャー、止めて! 変態っ、痴漢!! ケーサツ呼ぶわよ!」  誰にも見せた事の無い身体を、何で目の前のこの男が知っているのよ! 『構わんぞ。但し警察を呼んでも、お前が失恋故の酔っ払い扱いされ、厳重注意されるのがオチだがな』  く、悔しい――っ!  何で彼氏にフラれた挙句、ワケのわかんない鏡にバカにされなきゃなんないの!?  涙がぼろぼろと流れた。
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