鏡の中から王子様

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  『お前の不細工な泣き顔なんか、今じゃ何の武器にもならんぞ』 「余計なお世話!」 『鏡を見てみろ、鏡を』 「アンタが邪魔よ!」  今、鏡には上半身アップの王子の姿がどどーん、と映っている。王冠まで被っちゃってさ、何様よ! 『ホレ、ちゃんと見てみ?』  そう言うと、すーっと王子の姿が鏡から消えた。 「ギャーっ、き、消えたあああ――! お化けぇーっ、悪霊退散――!」  目の前の鏡には髪を振り乱し、思いきり目の血走った恐ろしい顔の女が映っていた。  お化けは私か――!? 『今、自分を見て化け物だと思っただろう。その通りだ』  再び鏡の中に王子が現れた。否定できない悲しさよ。
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