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部屋に入ると、まだ片付けの途中だった事を思い出した。さすがに今日続きをやるつもりはないが、明日の朝捨てるものだけは、まとめておきたい。
「優ちゃん。私がまとめとこうか?」
「良いよ。俺がやっとくから、奏美は休んどきな」
そう言って、奏美を奥の部屋に押し込んで、とりあえず明日捨てる分だけ玄関にまとめておく。整理したものが多かったせいで、明日捨てるだけものだけでも大きなゴミ袋3つ分になっていた。
さてと、残りは明日やるとして、俺も休もうかと奥の部屋へ向かう。
部屋に入ると、奏美が座って何かを読んでいた。
「奏美、何読んでるんだ?」
「これ」
奏美が持っていたものを上げて見せる。
それは、俺が片付けていた時に見つけた俺の昔のノートだった。
「あっ、それ!」
「これ……懐かしいね。昔、優ちゃんが私にこれを見せながら話して聞かせてくれたよね」
「あっ、そうだったか?」
「うん。すごく面白い話だったなぁ。懐かしい」
それを聞いた瞬間、昔のノートを見られた恥ずかしさというのはどこかへ消えてしまっていた。
「今でも……そう思うか?」
「うん!」
そう言って、奏美はあの時と同じ笑顔で俺に笑いかけた。
「じゃあ2人で見るか?」
「うん、一緒に見よ!」
そうして一緒にノートを見始めると、昔の事を思い出した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ねぇ、優ちゃん、それなぁに?」
「これマンガ、描いてみたんだ。読むか?」
「うん」
そう言って奏美はノートの中身を読み始める。
「……どうかな?」
「ねぇ、優ちゃん。これ……」
「うん?」
「これ、続きはどうなるの?」
「続き?」
「うん、続きが気になって……」
「面白い……の?」
「うん。だから、続き教えて」
「うん。この後はね……」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
きっとこういう事なんだ。他人が聞いたら、そんな事って言うかもしれない。でも、俺にとっては、とても大事な事で、それがきっかけだったんだ。
「どうしたの?」
「いや、奏美が可愛いなって思ってさ」
「いきなり何言ってるのさ」
そう言って、照れて顔を赤くさせた奏美を見ながら、俺は奏美と一緒にいれて、本当に良かったと、そう思うのだった。
fin
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