決戦はショートケーキの日

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 一人暮らしのデメリット、それは料理を作っても食べる人が自分しかいない点だ。料理なら翌朝やお弁当に回せるからいい。問題はスイーツだ。中島亜沙美は今しがた作ったばかりの豆腐ティラミスを冷蔵庫に移し終えるとため息を吐く。 「三日間、豆腐ティラミスを食べ続けなきゃいけないのよね」  亜沙美の趣味はスイーツ作りだ。だが一人分作るには材料が中途半端なのと面倒くさがりの性格のため、まとめて作ってしまう。そのため数日間、同じスイーツを食べ続けることになるのだが、それでも面倒くささが勝ってしまう。  豆腐ティラミスを作ったのも、三日間食べ続けなければならないからだ。豆腐を使っている分、ティラミスよりもカロリーは少ない。食べ続けても体重に与えるダメージは低いはずだ。 「本当はケーキとか作りたいんだけど」  学生時代の亜沙美は料理教室に通い、ケーキ作りを習っていた。作ったケーキは狭いアパートに大学でできた仲のいい友人三人を呼んで、一緒に食べていた。それが大学を卒業してから一変した。Uターン就職した子、会社の寮に入る子、地方に就職した子と見事にばらばらになってしまった。
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