決戦はショートケーキの日

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 亜沙美は住む場所だけは学生時代から変わらなかったが、雇用状況は大きく変わった。一年の契約社員として採用された会社から契約の打ち切りを告げられた。新年度早々無職となった亜沙美はチェーンのケーキショップでアルバイトを始めた。ケーキショップを選んだのも、スイーツが好きだからという理由だけだ。 「そろそろバイト行かなきゃ」  エプロンを洗濯機に投げ込み、ざっくりとまとめていた髪をきちりとまとめ直す。鏡を見てメイクも確認する。いつものナチュラルメイクを、今日は少しだけ上品に仕上げている。  ショートケーキの日である今日は、なんとなく彼に会えそうな気がする。  亜沙美のアルバイト先のケーキショップは基本的に早番と遅番がある。早番は家庭のあるお母さんたちが、遅番は学生が多く亜沙美も遅番になることが多い。今日は遅番で二十一時半までの勤務だ。商業施設の地下にある店舗のため、買い物ついでに買って行ってくれるお客さんが多い。亜沙美が見る限り、その時間の客層は仕事帰りのОLと家族へのお土産のようにケーキを買って行くお父さんだ。
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