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「バースデーケーキ。しおんくんおたんじょうびおめでとうって入ったやつ」
「それはなんというか……」
他人宛てのバースデーケーキを買う人がいるなんて初めて聞いた。
「神よ。それか仕事のストレスをケーキで晴らす社畜。二、三日すればまた来るから頑張りなさい」
いや何をと聞く前に、千春はレジからお金を回収すると亜沙美に意味深な笑みを見せてバックヤードへ戻っていく。
――もしかして千春さんは私があの人に惚れたと思ってる?
そんなことはないんだけどと呟いた言葉が反転したのは二週間後、子どもの日だ。
飲食店に団体で予約を入れて当日ドタキャンする。連絡先と聞いた電話番号はでたらめだった。そんなニュースをテレビで見たが、まさかそれが自分の身に降り注ぐとは思わなかった。
「ラブくんの連絡先、ここの代表番号だった」
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