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縁は笑いながら答える。
「むしろそこもいいんですぅ!紫音先輩とは高校のオカ研で知り合って」
「うんうん。それで?」
詩乃と縁は、恋バナにはしゃぐ女の子同士のようにベンチに腰かける。もちろん周囲には縁が1人で座っているようにしか見えない。
「私どうせ友達は作れないし、なら周囲に気を使っても意味ないから、徹底的に趣味に走ることにしたんです」
「それがオカルトにロリータファッション…まあ深刻にならないのはいいけどさ」
「だって私、能力を信じられても、否定されても変人扱いですから。どうしようもないんですよ」
「うちの高校にオカ研があることがミステリーだったけど、本物がいたってことか」
確かに、高校時分は遊びまくっていた詩乃には、無縁の同好会ではある。
「でね。ある日、部室に男の子の霊がいたんです。キャッキャ言いながら嬉しそうに私たちを見てて」
「恐神研究会の方が面白いんじゃない?ははは」
相変わらず軽薄な詩乃。だがその様子に縁は心が軽くなり、笑顔を取り戻す。
「その子があんまり楽しそうで、私思わず『面白い?そう、よかったね。ずっといていいよ』って声に出しちゃったんですよ。案の定、部員はドン引き!ああ、またやっちゃったって」
「あはは!あんたも懲りないね、やらかしっぱなしじゃないの」
「だって私には、生者も死者もあまり差がないんですもん。でもね、紫音先輩だけは…」
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