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後日、病院の先生が猫の埋葬を無料で手配してくれた。
連絡は代表者として彼女に届いたらしく、合同墓地に葬られた猫のお墓参りに行くことになった。
僕が待ち合わせ場所に小さな花束を持って着くと、待っていたのは彼女一人だった。
「あれ、ほかの二人は?まだ来ていないの?」
彼女に問いかけると、彼女はゆっくりと首を振って否定する。
「ううん。今日来てもらったのはあなただけ」
「…なんで?」
なんで僕だけなんだろう。僕はあの時、結局何もできなかった。
すると彼女はこう答えた。
「あなたに来てほしかったの。あのとき一緒に泣いてくれたあなたに」
「…そっか。分かった」
二人で並んでお墓に手を合わせる。
僕は君を守るのに向いていないかもしれない。
背も高くないし、力もない。
けれど、一緒に悲しむことはできる。
君と同じ気持ちで、君に寄り添いたいと、僕はそう思ったんだ。
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