君の傍に

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君の傍に

君の事が好きだった。 なんて、自分に嘘をついて。 本当は、今でもずっと好きのままだ。 君は、恋愛を避けていた。 だからずっとこの気持ち、言えないまま大人になった。 苦しくて、わざと君を避けるようにしたこともあった。 何人かの女性と交際した。 でも、どこか心を開いていないと言われて、別れるんだ。 夢に出てくるのは、君なんだ。 もうとっくに諦めたはずなのに。 夢は、いつもどしゃ降りの雨で。 子供の頃と、学生の時、そして社会人のある日。 夢で出会うたび、どしゃ降りで。 君の幸せを願う。願うだけならいいだろう。 この雨の中では、お互い声が聞こえない。 聞こえなくていいんだ。 だから悲しい顔はやめてほしい。 僕らの傘は、決して一つにならない。 ずっと続くと、そう思っていた。 君は、死んだ。 過労死だった。 愛猫はいたようだった。君のそばで静かに倒れていた。 君は一人じゃなかった。 そんなことに、僕の心は酷く苦しくなるんだ。 僕がそばにいれば、なんて言ったら君はいつものように笑うだろうか。 【頼りたくなる前に、お世話したくなっちゃうよ】 君は幸せだっただろうか。 どうか、気持ちだけども君のそばに。 そんなことを思い、お葬式終わりに倒れるように眠りに入る。 久々の布団、そういえば最近寝ていなかったな。なんて思いながら。 気がつけば、夢を見ていた。 止むことのなかった雨は、止んでいた。 僕は、君に近づく。 僕は猫になっていた。 君に抱き上げられ、飼われることになる。 こんどこそ、君を幸せにしよう。 君のそばで。
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