再会した二人

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「待ってくださいベロニカ。行かないで」 「でも、私は貴方が死ぬ原因を作った女ですよ?」 「そんなこと、どうだって良いのです。私の心は貴方だけの物なのです。今あなたに去られたら、この心をどこに持って行けばいいのですか?」 「ああ、フリッツ……」 「ベロニカ……愛しています。ようやく言えた」 「フリッツ。私もです。私も貴方を愛しています」  軽く振り返ると、二人はがっちり抱きしめ合っていた。  俺は再び二人から視線を外した。  背後からの気配はアツアツなのに、コーヒーは冷たくなっていた。 「もう私達の中を拒むものはありませんベロニカ」 「フリッツ……私でよろしいのですか?」 「貴方でなければだめなのです……」 「ああ、フリッツ……」  店内が微かにどよめいた。  ちょっとだけ振り返ると、なんかキスしてる?  こいつらマジか……。  俺は慌てて顔の位置を戻して、心の中で呟いた。  アイツらは他人、アイツらは他人、アイツらは他人。 「行きましょう、フリッツ」 「ええ、貴方とならどこまでも」  二人はしっかりと寄り添い合いながら、そのまま店を出て行った。
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