再会した二人

6/7

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
 その夜、泰雅からメールが届いた。  食い逃げしといていい度胸だぜあのガキ。  だが、タイトルが「騙されたかも」だったので許すことにした。  心の広い親友として、俺はメールの中身をいそいそと確認することにした。 「デートの最期、いきなりホテルに誘われた。本物のベロニカはいきなりそんなことしない。姫にしては節度ってもんが無さ過ぎる気がする」  脳味噌の代わりに幸せガスでも詰まってんのかな。 「馬鹿だな、何百年お前のこと待ってたと思うんだ。お前への想いが溢れ出しているんだよ。それを受け止めないで、何が愛だ。お前、本気で彼女のこと愛しているのか?」  折角なので焚きつけてみる事にした。二人合わせて最低でも五千円分は俺を楽しませてもらわないと。 「確かにその通りだった。僕は知らずのうちに臆病になっていたのかもしれない。ありがとう心友。早速ベロニカに謝ってくるよ」  何て単純な奴だ。まあ、賭けても良いがベロニカは話を合わせてただけだろう。あんな大食い女が姫であって溜まるもんか。食い逃げ女に精々お前もカモにされろ。  俺はショックで泣き伏せる泰雅を妄想し、大変に満足してその日は床に就いた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加