interlude 1

33/41
前へ
/125ページ
次へ
「れべっ。」 「面っ!!」 「れべっ」 「突きぃっ!」 「れ」 「胴っっっ!!!」 湿地に谺する少女の気迫に満ちた叫びと、蛙の鳴き声。二足歩行の蛙のような何かに囲まれた少女が、木刀一本でそれらを薙ぎ払っていた。 「チェストォア!!」 「r」 「あー……やっぱり感覚狂う。」 「げろげろ、こいつ、つよい!」 「三段突きっ!」 鋭い突きが、眼前の蛙人間の喉を貫く。 「ん、なんか今辿々(たどたど)しいけど日本語喋ってるやついなかった?(喜:おったな。)(衣:いたね。)っと、まだいるな…けぇぇぇっ!!」 凄まじい雄叫びを上げ、強烈な唐竹割りで蛙人間の頭蓋を叩き割る。 「げろ、あのかたを、よばねば!」 「われらでは、たちうちできぬ!」 「だぁらっしゃあぁ!!」 袈裟斬りに振るった一閃から木刀を跳ね上げ、逆袈裟に叩きつける。 直後、激しい水柱が少し離れたところで立ち上る。地鳴りのような低い音が聞こえた方に目を向けると、がっしりとした体付きの蛙人間が波紋を刻みながら姿を現した。 「ぶー……不甲斐ないぞ、鈍間共。人間より我らの方がこの地では強い、だというのに何故人間一匹に梃摺る?」 「もうしわけありません、ヴォジャノーイさま!こやつ、われらよりはやくつよいのです!」 「親玉登場ってわけ?ロシアあたりの水の精か。」 「ぶー…如何にも。我は水蛙精魔(ヴォジャノーイ)、魚の支配者にして豊漁を齎すものなり。人間、不遜であるぞ。我らの縄張りを荒らし、数多の同胞を手にかけた。許すまじ、断じて許すまじ。」 水掻きのついた手に、己の拳を叩きつける水蛙精魔。 「名乗ってくれるなら『鑑定(アプレイザル)』の手間が省けて良い。退屈させてくれるなよ?」 「万死に値する、その罪。(うぬ)の死を以て(あがな)いとせよ!」
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加