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「れべっ。」
「面っ!!」
「れべっ」
「突きぃっ!」
「れ」
「胴っっっ!!!」
湿地に谺する少女の気迫に満ちた叫びと、蛙の鳴き声。二足歩行の蛙のような何かに囲まれた少女が、木刀一本でそれらを薙ぎ払っていた。
「チェストォア!!」
「r」
「あー……やっぱり感覚狂う。」
「げろげろ、こいつ、つよい!」
「三段突きっ!」
鋭い突きが、眼前の蛙人間の喉を貫く。
「ん、なんか今辿々しいけど日本語喋ってるやついなかった?(喜:おったな。)(衣:いたね。)っと、まだいるな…けぇぇぇっ!!」
凄まじい雄叫びを上げ、強烈な唐竹割りで蛙人間の頭蓋を叩き割る。
「げろ、あのかたを、よばねば!」
「われらでは、たちうちできぬ!」
「だぁらっしゃあぁ!!」
袈裟斬りに振るった一閃から木刀を跳ね上げ、逆袈裟に叩きつける。
直後、激しい水柱が少し離れたところで立ち上る。地鳴りのような低い音が聞こえた方に目を向けると、がっしりとした体付きの蛙人間が波紋を刻みながら姿を現した。
「ぶー……不甲斐ないぞ、鈍間共。人間より我らの方がこの地では強い、だというのに何故人間一匹に梃摺る?」
「もうしわけありません、ヴォジャノーイさま!こやつ、われらよりはやくつよいのです!」
「親玉登場ってわけ?ロシアあたりの水の精か。」
「ぶー…如何にも。我は水蛙精魔、魚の支配者にして豊漁を齎すものなり。人間、不遜であるぞ。我らの縄張りを荒らし、数多の同胞を手にかけた。許すまじ、断じて許すまじ。」
水掻きのついた手に、己の拳を叩きつける水蛙精魔。
「名乗ってくれるなら『鑑定』の手間が省けて良い。退屈させてくれるなよ?」
「万死に値する、その罪。汝の死を以て贖いとせよ!」
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