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「上等だ……来いよ。激情、歓喜、渾身、全霊!ぶちのめしてやる!!」
直前まで振るっていた木刀をインベントリに仕舞い、関節を鳴らし獰猛に笑う。
それを見た水蛙精魔は、感情の読めない目のまま、不快と言わんばかりの唸りを上げた。
「ぶふー……我相手なら武器など要らぬと申すか、人間。汝め、ますます不遜であるぞ!」
「逆だ、ボケ。うちにとって凶器の使用は手加減と同義……全力で相手してやるっつってんだよ。来ないなら……こっちから行くぞオラァ!!」
水面を蹴りつけ、shYnoが走る。水の抵抗を踏まえればあり得ないほどの速度で距離を詰め、水蛙精魔の腹に、強烈な前蹴りを叩き込んだ。
蹈鞴を踏んだ水蛙精魔が、拳を引いて振り下ろす。その拳は空を切り、長身のshYnoが見上げるほどの巨躯が、丸太のような腕で水面を叩く。
「ぶふー……速いな、それに重い。我が僕共が手間取るわけだ……。」
「踏ん張り利きにくいのもあるけど、手応え軽いな。まあ、ハンデとしてはちょうどいいか。」
感情の読めない目をぎょろりと動かし、水蛙精魔が言葉を溢す。その視線の先で、不敵に笑うshYno。
「だが、我には効かぬ。我が縄張りにある限り、汝に勝ち目はない。」
「ただの打撃ならそうだろうね。でも……こういう味付けはどうかな?。≪雷≫≪付与≫『雷属性付与』!」
「ぶふふふ、汝め、さては魔術師か。……待て。ならなぜ先程まで打撃のみで戦っていた?」
「正直お前らには悪いと思うけどさ……純度100%、混じりっけ無しの純然たる八つ当たりだ!!」
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