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「汝め、許さんぞ!」
「勝ってから吼えろ蛙野郎!!」
怒号を放つ水蛙精魔の顔面に、前宙返りしながらshYnoが踵を叩きつける。音を立てて爆ぜる電流が、蛙の顔面を焼く。
そのまま顔面を踏み抜くように跳躍し、空中で体を捻ると頭頂部に肘をめり込ませた。
「ぶぐ……が……」
「そぉら、も一発!」
仮初めの脳を揺らされ体勢を崩した蛙の頭を鷲掴みにし、己の落下の勢いも乗せて、水面に力任せに叩きつけた。
「ぶ……ふぅぅぅ……無駄だ、我には効かぬ……」
「手応えほど効いてないのは確かだけどさ……弱点、もう少ししっかり隠した方が良いよ?うちみたいな勘の良いやつは、チャンスがあれば一発で見抜くから。お前の頭借りたその一瞬で、バッチリ見つけたよ……水門。」
ゆっくり立ち上がる巨躯の人型蛙。頭を振るその蛙の斜め後方、ある一点を凝視するshYno。
「ぶふふふ、あり得んな。我が最大限隠蔽したのだ、見つけられるはずが」
「≪雷≫≪柱≫≪増幅≫≪増幅≫≪増幅≫≪焼き切れ≫『神の裁き』。」
凝視していた一点目がけ、突然雷霆が降る。
轟音と共に世界が白く塗り潰され、色を失う。
世界に色が戻ったとき、ガラス化した地面に静かに水が流れ込んでいた。
「あー、ごめーん。話してるのに遮っちゃってー。良いよ、続けてー?」
「ば、莫迦な……我が、水門が……」
感情の読めない目のまま、大口を開けて立ち尽くすヴォジャノーイ。
「お喋り終わり?……じゃあ、沈め。」
「おのれぇぇぇっ、許さぬ」
「あんまり体術の技巧好きじゃないんだけどね……『上段蹴り』『延髄斬り』『踵落とし』『閃光魔術』!」
回し蹴りに近いモーションで、shYnoがヴォジャノーイの横面を蹴りつける。蹈鞴を踏んだヴォジャノーイの側面に踏み込みながら、続けざまにその後頭部に回し蹴りを叩き込み、ぐらついたところに追撃の踵落としが刺さる。踵落としの反動も使って強引にヴォジャノーイの前に着地したshYnoが、朦朧とするヴォジャノーイの膝を足場に跳躍する。強烈な膝蹴りがその無防備な側頭部に突き刺さり、ヴォジャノーイの巨体がゆっくりと傾く。
飛沫を上げて着地するshYnoの眼前で、ヴォジャノーイの体は倒れ込み、一拍おいて爆散してポリゴンを撒き散らした。
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