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『技巧とは、各種能動的技能に存在する技で、スタミナを消費して発動します。現在shYno様が装備している槍術技能を例に説明すると、槍術レベル1では一穿の技巧が使用可能です。技能熟練度の上昇にあわせて、新たな技巧が追加されます。では、習うより慣れろということで…実際に、技巧を使って粘体球を倒してください。』
「『一穿』!………これでいいの?」
一体目の焼き直しのように、二体目の粘体球の核が割れ、残りの部分が消し飛ぶ。
『フェーズツー、クリア。報酬として、割れた粘体球核及び粘体球ゼリーがインベントリに送られます。フェーズスリー、調教師のスキルチュートリアルに移行します。テイム可能な敵性mobを召喚します。』
再びポリゴンが収束する。先程の粘体球より一回り大きな光が弾けて、大きな体つきの野うさぎが現れた。
『調教師の基礎技能、調教は、対象に発動者が認められる………対象が、発動者を受け入れる必要があります。手段は問いません、そこにいる突撃野兎を屈服させ、調教してください。』
「きゅーっ!」
「よいしょ。大きいねぇ…よしよし、いい子だ。」
電子音が途絶えると同時に、地を蹴って兎がshYnoに迫る。彼女はそれを避けることなく──
体軸を一切ぶれさせずに、兎の突撃を受け止めた。
そのまま抱き抱え、腰を下ろすと、優しい手付きでゆっくりと、兎の体を撫で始めた。
最初は警戒してもがいていた兎だが、数分足らずで脱力し耳を垂らした。
それを見た彼女が兎を地面に下ろすと、兎はその場で彼女に寄り添うように寝転んだ。
「きゅいー…」
「嫌なら拒んでいいけど…うちと、一緒に旅をしない?『調教』。」
「きゅ!」
『調教が成功しました。突撃野兎に名前をつけてください。名前をつけることで、契約が確立されます。』
「そうだねぇ…白くて、まん丸だから………うーん…ユエ。どうかな?」
「きゅーっ!」
名を告げる彼女の声に、兎が彼女の足の回りをぐるぐる回る。
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