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「ああ、此方にいらしたのね暁徒兄様。今日こそちゃんとご飯を…あら、お帰りなさい詩音。」
奥から現れた均整のとれた体型の女性が、窶れた男性に険しい顔つきで声をかける。しかし、言葉の途中で詩音に気づいて、柔和な笑顔を浮かべ両手を広げた。
「ただいま、陽姉。」
「それ、暁徒兄様が関係しているげーむでしょう?遊ぶのもいいけど、程々になさいね?」
「ん、わかってる。」
女性に親しげに呼び掛けた詩音が、女性を軽く抱きしめる。
短く言葉をかわして、女性を離して自室へと歩を進めた。
「ふふ…お母様なら頬擦りまでしてくるのに、詩音はあまりお母様に似てないのかしら?」
「夏世さんは家族のことが大好きだからね。親父相手ならともかく、僕にまで抱きつき癖を発揮するのは困り者だが。」
二人の会話を聞こえないふりで流して、扉を閉めた。
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