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ぼくは毎年雨季にさしかかりはじめたこの時期になると、そわそわしはじめる。
もうそろそろだ。次はぼくの番だと身構えるが、いつも決まって、ぼくじゃないだれかが選ばれてしまうのだった。
もう友だちはみんな、とっくに選ばれて、イケニエに利用されてしまった。それどころか、もう村中すべての人がどうやらこのまつりごとの舞台に選出されたようだ。そう、ぼく以外には。
さすがに今年こそはもう選ばれるだろうと、いままで選ばれなかったぼくは少しひねくれたような感情を抱きながら、雨降りの村をびしょぬれになりながら歩き、神殿へと向かうのだった。
思えば、今まで一度も、なにか特別なものごとに選ばれることのない人生だったな。どんな形であれ、なにか大きな意味あることに選ばれるのであれば、本望というものだ。
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