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神殿の前まで来てみると、ぼくは自らの推理が間違っていたことを知る。
神官が連れてきていたのは、大きなカサからあたりをキョロキョロとうかがっている数人の新たな観光客たちと、二回目、三回目と選ばれているぼくの友人たちだった。
ぼくが竜のお面をかぶった神官に声かけしようとすると、神官はもうこちらの言いたいことを悟ったかのようにぼくの言葉をさえぎり、こう言うのだった。
待ちたまえ、選ばれることのなかった竜の子よ。そなたは選ばれることのない者としてすでに選ばれし者となったのだ。ちょうどいい、不選者チョイノトよ。これからそなたのこれから行うべき使命を教えよう、と。
ぼくは、はじめドラゴン頭の神官がなにを言っているのかまったく理解できなかったのだけれど、どうやら神官がこの神殿において行う秘密の儀式を特別に見せてくれるようだ。
儀式の詳しい内容を知らないぼくや観光客たちは、なにが起こるのだろうととてもドキドキしながら見ていたが、ぼくの友人たちは慣れたふうで、半ば笑顔をうかべながら儀式そのものを楽しんでいる様子だった。
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