59人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
変なおじさん
月のない真っ暗な夜だった。
両親が罵り合う家を飛び出して、近くのコンビニへ向かったけれど、街灯の少ない田舎道は怖い。コンビニの看板の明かりが北極星のように瞬いていて、私は田んぼの海の向こうを目指してひたすら歩いた。
「おまえが悪い」
「あなたは悪くないって言うの?」
「誰の子だよ?」
「あなたの子に決まってるでしょ」
夫婦喧嘩はいつものことだったけれど、今夜は少し違った。「誰の子だよ?」って、どういうこと? 私、パパの子どもじゃないの?
パパはいつから疑っていたのだろう。私の存在はずっとパパを苦しめていたのだろうか。息ができないみたいに苦しくなって、こっそり家を抜け出した。
私がいなくなれば、パパとママは仲直りできる? でも、私、こんな夜中にどこに行こう?
最初のコメントを投稿しよう!