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惹かれていく
黒のレクサス、初めて会った日は断固として乗らなかったが、仕事で二人で出かけることが多くなり助手席に座ることには抵抗はなくなった。
「今日はどこへ?」
「今日は食事だ」
「食事会ですか?」
「いや、以前失礼なことをしてしまったから食事をごちそうしたい。あの時もむりやり付合わせたのだからお金も返したいと思っていた」
「どういう風の吹き回しですか?ちなみに、あんな肩の凝る食事だったらお断りします」
「手厳しいな、今回は定食屋だよ」
「それならいいです、ただ割り勘にしてください。」
ファンシーグッズを取り扱うお店の隣にある食堂。
食堂の店主夫婦はファンシーショップを経営している女性の親だった。
視察を兼ねてということか、一緒に仕事をしていくにつれ沖田の人間性が分ってきた。仕事に関してストイックで尊敬出来るし、本来は優しい人間であることも。でもこの人からすれば私は妹の旦那の元不倫相手で単なる部下の一人で絶対に恋愛感情を持ってはいけない。
なのに・・・
最近は自分の気持ちがわからなくなる
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