<雨がやんだら>

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<雨がやんだら>

あれから四か月経った大安吉日。 紗季が父親と共に俺の元に歩いてくる。 始まりは雨だった。 純白のドレスを身にまとった紗季が俺の隣に立った。 「あの日、紗季に出会えてよかった」 紗季は微笑みながら 「あの日、あなたがきてくれてよかった」 親父はろっ骨三本にヒビが入っていたがそのおかげで助かった。 まだ痛みはあるようだが父親としての役割は果たしてくれた。 香那は不起訴になり療養所に入ったと香里奈から聞いた。 髪の毛の生え際はすべて白く、伸びてきたら真っ白じゃないかと言っていた。 そして、離婚もすんなりと終わりおだやかな日々を送っているということだった。 ずっと憎いと思っていた継母も、苦しみながら生きていたことを知った。 親父のせいなんだが。 しかも、その親父は落ち着いたら宮田さんと入籍をすると言っていた。 母さんや継母を苦しめてまったく懲りないというと、香里奈からは中途半端なことをするなと叱られたそうだ。 香里奈は甘ったれでわがままばかりだったが、今は一つの部署からOKIの子会社となった、オフィス用品リースのOKリースの営業をしている。 親父が入院中は社長代理として走り回っていたが親父が復帰した時、一から始めたいと自分から営業をしている。 本当はケーキショップでもうすこし働きたかったと親父に文句を言っているようだ。 ブーケを香里奈に投げると紗季が言ったが、結婚には興味がないと断り、ブーケの行方は涼子の手の中だ。 いい加減、司も一歩を踏み出す時だろう。 彰は社長の娘との離婚ということが知れ渡り、結局は退職をした。 ロワジールにも顔を出すことはなく、今はどうしているのかわからない。 先ほどまで降っていた雨がやんで、雲に隠れていた太陽が現れると二重の虹が架かった。 Fin
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