報告書

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報告書

一度テーブルに置いた報告書をもう一度手に取る。 相手の女性は城田紗季、27歳。 OKI企画開発部の社員だ。 添付された写真には、彰と腕を組むスレンダーの女性が写っていた。二人の先にはホテルの入り口が見える。 黒を基調とした落ち着いた外観であるがファッションホテルだろう。 二枚目は二人が入り口に入っていく姿、三枚目は二人が楽しそうに顔を見合わせながらホテルから出てくる姿だった。 三枚目はロングで写されているため、人物は小さく写っているがそれでも十分美人だと分る。 四枚目で二人の姿がズームで撮られていて、今度は女性の風貌がよく分る。 セミロングの黒髪、鼻筋が通りキリッとした目つきで香里奈とは正反対の女性だった。 彰は香里奈と両親、特に継母に流されるように結婚をした。 端で見ていた俺でも少し心配になるほどだったから、断ることだって出来ると忠告したことがあった。 本当は、こういう女性が好きなのかもしくは、よほどあっちの相性がいいのか・・・ この女の取り入り方が巧妙なのか、香里奈に報告する前に一度話をした方がいいのかも知れない。 それにしても彰ももっと上手く出来ないものか・・・ 「分かっているけど、遅い日はいつもフワっと花の様な匂いがするの。香水かボディーソープのような」 匂いをさせて帰るなよ
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