Rain of heart ~やまない雨はないから~

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「ねぇ、フォレキャス。今日の天気予報を教えて」  窓の外を見つめながら、あたしは丸っこくて、白く発光しながら宙にプカプカ浮いている、鉄の塊なのか、フワフワの綿なのか良く分からない物体に声をかけた。 「承知しました、ミカ。今日の天気予報は1日雨です」 「あぁ……そう」  あたしがこの世界に来てからずっと、雨が降り続いていた。  こんなに降り続いたら、畑も田んぼもぬかるんで、農作物が駄目になっちゃいそうだな……野菜の値段高騰しそう。  まぁそれ以前に、この世界にも畑や田んぼがあるのかどうか知らないんだよね。 「前にも説明しましたが、ミカ。この世界ではその人の心が天気に反映されるんですよ」 「そうだったっけ?」  そんなこと言われたって良く分からない。  いつからこの部屋にいるかも覚えてないし、それにあたし――この部屋から一歩も出たことないんだもの。
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