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「この世界に雨が降り続くということは、ミカ、あなたの心に雨が降り続いているということです」
あたしの心に雨……ねぇ。
身に覚えがないわけじゃない気もする。
「この世界を晴れにしたいですか? ミカ」
「そりゃ……ここにきて、ずーっと雨だし」
面倒なことを何も考えないで済む……そんな心地良さが気に入って、ここから出て行こうと思ったことがなかった。
それに分からないことがあれば、この丸い謎の物体”フォレキャス”が何でも教えてくれるから。
でもさすがに、こう雨が続くと何となく不安になってしまう。
「やっぱ、晴れた時のこの世界も見てみたいかな」
「それならまずは、ミカの心の雨をやませなければいけません」
結局、そこに話が戻るのか。
「それじゃフォレキャス、あたしの心の雨はいつ止むの?」
「それは難しい質問です」
「へーぇ、あんたでも難しいことあるんだ」
「でも、答えは簡単ですよ」
難しいって言ってみたり、簡単だって言ってみたり、この長雨の湿気で動作がおかしくなってきたかな。
あれ、フォレキャスの動力って何だろ?
「ミカの心の雨は、ミカ自身で止めるしかありません」
「あたし……自身?」
「そう、ミカ以外、誰にも止められません」
あたしは呆気に取られてしまった。
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