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『大丈夫。大丈夫。説得力ないけど』
真面目な瞳で見つめられ、今千堂が何を考えているのか全くわからない私は、とりとめなく言葉を発した。
先輩風を吹かせたところで、私は所詮アシスタントだし、千堂の役に立つとも思えない。
『あっ、意味ないよね。私が言っても』
そんな慌てたように言った私を見て、千堂はクスリと笑った。
『そんなことないですよ。小っちゃい前原さんを見ていたらなんか落ち着きました』
そこにはいつもの千堂がいて、私はなぜかホッとしたのを覚えている。
その日、難しいと言われていた契約を、さっきまでの緊張はなんだったのかと思うほど、完ぺきなトークで決めた千堂を私はただ尊敬した。
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