390人が本棚に入れています
本棚に追加
あの日から一年がたち、いまでは完全に同期のような関係性で、やはり年上の千堂は、私よりもしっかりとしているし、男の人だと思う事も多い。
今もそうだ。当たり前のように雨の中に行ってしまった。
私はエントランスの中に設置されている椅子に座り、窓ガラスに雨があたるのを見ていた。
そこへ透明のビニール傘を差した千堂が歩いてくるのが見えた。
千堂、濡れてる!
今は傘をさしてはいるが、買いに行くまでに濡れたのだろう。
明るいグレーのスーツは濃く色を変え、きちんと整えられていた髪からは、ポタポタと雨が落ちている。
傘を閉じて千堂が中へと入って来るのがわかった。
最初のコメントを投稿しよう!