Story 1 雫が落ちる前に

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梅雨時期の今は日中はかなり気温が高いが、21時をすぎた今はかなり冷え込む。 目の前に来た千堂の顔は少し青ざめたように見える。 「千堂、ごめん! 大丈夫?」 慌てて私はカバンからハンカチを取り出そうとすると、急にエントランスの電気が消えた。 「そんな時間か……」 千堂のそんな声が聞こえ、外の明かりだけが差し込むだけで、急に薄暗くなる。 残業をさせないためなのか、一定時間がすぎると私たちの会社のビルのエントランスは電気は消える。 見ずらくなったカバンの中を覗き込み、私はタオル地のハンカチを取り出すと千堂に差し出す。
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