Story 1 雫が落ちる前に

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私が千堂と会ったのは、ちょうど2年前。 『千堂です。よろしくお願いします』 新人研修が終わり、数名が配属になったその日、やたらと事業部が騒めいたのを覚えている。 新入社員には見えない落ち着いた雰囲気と、高い身長、そしてなによりもモデルのように整った顔。 すぐに女子社員の噂の的になっていた。 そんな千堂が初め私は苦手だった。 本当に新人かと思うほど頭がきれ、コミュニケーション能力も長けている千堂はすぐに周りに慣れ話題の中心にいた。 そんな千堂は私にはとても近寄りがたい存在だった。 ただでさえ年下の後輩。 それは私にとって、難しい距離だったと思う。 しばらくして、仕事も覚えたころ本格的に私は千堂のアシスタントになった。
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