恋はいつでも甘く

Story 1 雫が落ちる前に

なんなのよ……
毎日雨、雨、あめ。
心の中で一人そんなことを思った。

梅雨に入ったのはいつだっただろうか？
そんなことを思ったところで、なにか状況が変わるわけでもない。

『今年は梅雨前線が活発です』そんな朝のお天気お兄さんの言葉を思い出した。

久し振りに晴れてる。そんな浮かれた気分で朝電車に乗ったことを後悔してももう遅い。

帰宅ラッシュはもう終わっている時間。少しのスーツ姿の人と、雨でも遊びに行くのだろう楽し気な人たちが、傘をさしながら歩く姿をを見つめた。
会社のエントランスから見上げた空からは、パラパラというようなかわいらしい雨ではない。私はそんな真っ黒な空を見上げた。