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えー。またもや作品ではないのですが。
エヴ友の仁海ゆうや様に捧げる1ページ。
俺が習った作詞の心得を書いてみたいと思います。
ちょっと詰め込みますw
まず『作詞家』は『自分で歌う』のではなく、あくまで歌手が歌う歌詞を作る、ということ。
例えば極端だけど、さだまさし氏とhyde氏。
どちらも素晴らしい歌手ですが、歌を聴いてくれる『商売相手』がかなり違います。
二人が『あなたを愛してる』と歌った場合、『良い』スタンプを押してくれる女性は年齢層もタイプも相当違うでしょう。
髭ダンとkinggnu。
宇多田ヒカルと倉木麻衣。
中島みゆき本人の歌と、工藤静香に贈った歌。
何となく似ている様で、歌詞の世界観はちゃんと違うのです。
なんならあのAKB系列のグループも、それぞれちゃんと違うコンセプトを与えられています。
(ちなみに本体AKBは王道青春路線、ただしセンターによって変化。最近は知らないけどw
博多HKTは幼さと元気、難波NMBはお笑い曲もあるが真面目曲はビシッと、名古屋SKEは恋するスクールガール、新潟NGTと瀬戸内STUはそれぞれ雪国と海の街の素朴さ、昔あったSDNはアダルト路線)
歌手も歌も『商品』なので、こういう歌を歌ってこういう年齢層の、こういうタイプに聴いてもらおう、こういう路線で売って行こう、というコンセプトがあります。
作詞家はそれに従い、曲調に内容を会わせ、尚且つ自分の色を出さなければいけない。
……難しい事を言うものだ(笑)
そして、小説はストーリーを始まりから結末まで分かる様に書かなくてはなりませんが、歌詞は主にそのストーリーの一部分、ワンシーンだけを切り抜いたもの。
例えば、彼女が振り向いて俺を見た、なんて場面だけでも一曲作れる訳で。
この『切り口』を探すのが俺は一番難しかった気がします。
あと、『16のチェックポイント』というものがありました。
これは必ず守らなくてはならない、というものではなく、特に最近はいくつかあまり使われなくなったものや、あえて使わないことで良い歌詞になったものもありますが、まあ80年代では基本だったと思ってくださいな。
1、目①(1メートル以内のもの、小物)
2、目②(3メートル以上、景色、場所)
3、目③(色、色を想像するもの)
4、目④(目の行為、見る、泣く等)
5、手 (手を使ってすること)
6、足 (足を使ってすること)
7、鼻 (匂いを連想するもの)
8、頭(思う、怒る、笑う、悲しむ等)
9、季節感
10、皮膚感触(熱い、痛い、冷たい等)
11、口① (口を使ってすること)
12、口② (セリフ)
13、耳 (音、音を連想するもの)
14、テーマ (伝えたいこと)
15、タイトル (出来ればサビで)
16、印象的な歌ってみたくなるフレーズ
(これがタイトルだとなお良い)
最後の三つが特に特に大切です。
では具体的にこれを、実際の名作と呼ばれる『なごり雪』で見て行きましょう。
汽車を待つ君の横で僕は時計を気にしてる
↑景色、音 ↑小物を見てる ↑頭
季節はずれの雪が降ってる
↑季節感 ↑色、冷たい皮膚感触
東京で見る雪はこれが最後ね と
↑セリフ
寂しそうに君が呟く
↑口
なごり雪も降る時を知りふざけすぎた季節のあとで
↑タイトル
今 春が来て君は きれいになった
去年よりずっと きれいになった
↑サビ全体がテーマで、印象的なフレーズ
歌詞には直接出て来ませんが、手足もいろいろ動いているはずだと連想されますよね。
そして伝えたいテーマですが、これがイルカさんの歌唱と、作者である伊勢正三さんの歌唱とではイメージが変わります。
イルカさんの歌を聴くと、初恋の女の子(おそらく幼なじみ)が告白出来ないうちに転校してしまうという純情な恋のワンシーン。
きれいになった君を見て、恋に気付いたのかも。
伊勢正三さんの方を聴くと、東京に二人で出て来た男女が、都会でふざけているうちに心が離れて女性が帰ってしまう大人の別れ。
ああ、君はこんなにきれいだったのか……と。
とにかく、この短い歌詞を読むだけで、二人はどんな思いでいつ頃のどこにいてそしてうわあああってなるのが理想なのです。
そして、切り抜いた場面だけを歌って、ある程度は聴く人の想像に任せる、というのも手段です。
この歌だって幼い恋とも大人の恋とも、なんなら不倫して寝取られた歌かもしれないのです(まさかw)
まあ歌詞の世界もアイドル黄金時代が終わった頃から自分で作る人が増えてだいぶ変わって、特に季節感を入れず、言葉遣いも個性的な歌が増えてますので、やはり大切なのは最後の三つだと言えます。
うわ、長くなったw
ゆうや氏、こんな感じですがいかが?♪
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