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 キッチンペーパーで目元を拭いついで鼻をかむ。  胸に手を当て、すぅ~ハァと深呼吸を繰り返した。すると、なんとか自分を落ち着かせられた。  これから仕事をしなければならないのだ。  それに、よくよく考えてみれば、愛がいくら情報通とは言え結婚とか入籍したとかの話になれば、同期から連絡が入るのではないか。  そう考えると取り乱した自分が急におかしくなった。舌をペロリと出し頭をコツンと叩く。  コーヒーを一口飲むと、再びスマホを手に取り続きを読んだ。 **********************************  二つ目。 実は矢嶋さんのことです。先輩、同期ですよね?矢嶋さんが突然、彼女と別れたらしいのですが先輩何か聞いてまませんか? 富山がですね、実は矢嶋さん…… 「……え?矢嶋が彼女と別れた?うっそぉー!!だって、そんな、まさか?!」  全く信じられない。何があったというのだろう。こんな世の中だから、何が起こっても不思議ではないだろうけど、でも……  矢嶋は同期会の時に決まって彼女の自慢話をしていた。こちらが妬けるほど惚気けていたじゃない。  美咲は無意識にコーヒーカップを口元へ持っていき、飲まずにテーブルヘ置いた。   甘くなっていた心の鍵が完全に壊れてしまったようで、矢嶋への想いが急激に溢れ出してしまったのだ。  スマホにセットしていた、仕事開始のアラームが鳴りようやく我に返った美咲。ぬるくなったコーヒーを一気に飲み干すと、 「矢嶋に会えるかわからないけどオフィスへ行こう」  何故かそうしなければならないと強く思った。   アラームを止めると、一心に出かける準備を始めた。
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