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 美咲はマスクを付けると玄関から飛び出した。  最寄り駅までは徒歩15分。道を歩いてる人は、まばらだった。美咲自身、外へ出ることにはかなりの抵抗があがる。  感染拡大を続ける未知のウイルスは原因が未だ解明されず、研究も追いついてない状態らしい。わからないことばかりで人とすれ違うことにも恐怖を感じる。  オフィスへ行ったとしても矢嶋に会える確率はほとんどないかもしれない。それでも、居ても立ってもいられないのだから仕方がない。 「これは必要な外出だ」  美咲は自分に言い聞かせた。もしかしたら矢嶋にひと目でも会えれば気が済むかもしれない。  駅に着きホームへ行くとタイミングよく電車が入ってきた。これに乗れば二つ先の駅で急行に乗れる。  車内は空いていた。座席に座ろうとした時、妙な眩しさを感じた。太陽が眩しいのかと思い窓を見たがそうではないらしい。  斜め前の席でスマホを見ている見知らぬ男性が何故か光って見える。  ……何これ?  美咲は目を擦ろうとしたが思い留まった。どこにウイルスが潜んでいるかわからない状態なのだ。  ウイルスが目に入っても感染するらしい。  その後もその男性は薄明るく光ったままで、気にはなったが乗り換え駅に着いた為電車を降りた。 「今の何だった?」  人間が光るなんて事あるの?  急行がホームに入ってきたので乗り込む。席はいくつか空いていたが、前の電車のように空いていないのでドアの側に立っていることにした。
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