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 車内には数名の男性がいる。その中で、年齢が近そうな二人の男性が先程よりは弱いながらも、うっすらと光って見えた。 「また、これって……?」  目をパチパチさせても消えない。  美咲はスマホを取り出すと「男性 光る現象」と入力し検索してみたが、しっくりくる答えが見つからない。何故か昨日読んだと思われる短編の恋愛小説が検索に引っかかったが意味がわからない。  腕時計を見るとオフィスのある駅まであと十数分で到着する。光る男性も気にはなるが原因がわからないので仕方ない。  諦めた美咲は読書をしようとバッグから文庫本を取り出した。電車で本を読むのも久しぶりだ。  美咲はweb小説でお気に入りの作家が書籍化すると購入する事にしている。やはり紙の本も好きなのだ。  この本を読み切る前に通勤しなくなったせいか、バッグに入れたままにしていた。色んな形の恋愛が描かれていて、キュンキュンしたり切なくなったりと感情は忙しい。   美咲は、ミステリーも好きなのだが電車で読むと集中するあまり乗り過ごしてしまうことが度々。  ようやく目的の駅に到着した。車内を何気なく見るといつの間にか光る男性はいなくなっていた。途中の駅で降りたのだろう。  
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