オフィス

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 矢嶋は、ため息をついた。 「一緒に住んでたこと、アイツの両親に話してなかった。こんなになって、地方に行くのは気が引けるしさ。結局、迎えに行くタイミング失ったからな」 「まさか、彼女に会わないまま別れて……?!」  矢嶋は頷いた。 「まぁ長過ぎた春ってやつ……」  美咲には、彼女が信じられない。だって、矢嶋というものがありながら…… 「それで、彼女名義のマンション売りに出されちゃったんで、大慌てて出てきたからこんな大荷物ってわけ」  矢嶋がガックリと肩を落とす。  彼女名義のマンション?そんなの所有してるなんて、どんなお嬢様だったのよ? 「矢嶋はそれで良いの?」 「まぁ、どうだろうな。今は考える余裕がないって言うかさ。まずは住むトコ探さないと仕事もできないだろ?」
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