14人が本棚に入れています
本棚に追加
矢嶋は、ため息をついた。
「一緒に住んでたこと、アイツの両親に話してなかった。こんなになって、地方に行くのは気が引けるしさ。結局、迎えに行くタイミング失ったからな」
「まさか、彼女に会わないまま別れて……?!」
矢嶋は頷いた。
「まぁ長過ぎた春ってやつ……」
美咲には、彼女が信じられない。だって、矢嶋というものがありながら……
「それで、彼女名義のマンション売りに出されちゃったんで、大慌てて出てきたからこんな大荷物ってわけ」
矢嶋がガックリと肩を落とす。
彼女名義のマンション?そんなの所有してるなんて、どんなお嬢様だったのよ?
「矢嶋はそれで良いの?」
「まぁ、どうだろうな。今は考える余裕がないって言うかさ。まずは住むトコ探さないと仕事もできないだろ?」
最初のコメントを投稿しよう!